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解析領域ごとの機能 構造解析

エネルギーによって構造物が変化する現象を数値解析すること
構造解析とは、構造物の強度をさまざまな観点で数値的に評価するシミュレーション手法です。
観点は、外部または内部からエネルギーを与えた時の応力や変形、振動などの特性を指しており、実現象に対して何を評価したいのかによって変化します。
対象とする構造物は、材料特性によって変化の仕方にも違いがあり、エネルギーの種類によっても特性が変わります。
また、構造物自体のアセンブリー構成(組付け)によっても特性が変わるものがあります。
これらの物理特性を数値に置き換えてシミュレーションを行うため、利用するシーンごとに表現する必要性が出てきます。これを構造物の数値モデル化といいます。

構造解析

構造解析の数値モデル化(メッシュ)

有限要素法が主体
構造物に対し数値解析をするためには、近似的数値モデルにする必要があります。
無限形状である連続体に対し、多数の節点(Node)と呼ばれる代表点を与え、その点と点を構成則でつないだ有限の自由度を持つ要素(Element)として数値モデル化します。このように連続体を要素で分割(Mesh)し、各要素ごとに方程式を解く数値解析手法を有限要素法(Finite Element Method = FEM)と呼びます。
構造解析の数値解析手法の多くは、この有限要素法を主体とした計算ロジック(Solver)を用いております。

構造解析の数値モデル化(メッシュ)

構造解析に必要な知識

材料力学と破壊力学
構造解析ではエネルギーに応じて物体が変形し、その際に「応力」と「ひずみ」が発生します。
この応力(Stress)とひずみ(Strain)の関係性をグラフで表現したのが、応力-ひずみ曲線(stress-strain curve)です。
数値解析上、構造物には何かしらの材料が特性として与えられており、材料の種類によってその物体が持つ特性値(物性値)が違います。一般的には試験片を用意し、引張試験や圧縮試験を行うことでこの物性値を得ることができ、健全性を評価するうえで材料の非線形・弾塑性まで含んだ広い領域で用いられる理論が用いられます。
構造物に対して破壊現象まで評価対象とする場合は、材料力学と破壊力学の広義な知識を身に着ける必要があります。

材料力学と破壊力学

構造解析ツールに求められる機能

変形の状態と負荷するエネルギーの種類によって異なる
非線形には、塑性(材料)・大変形(幾何学)・接触の3つの領域があり、1つでもあれば非線形領域です。

変形の状態

  • 塑性 材料の応力-ひずみ曲線が比例関係でない状態
  • 大変形 エネルギーの大きさや方向が一定ではない状態
  • 接触 構造物が変形する過程で何かに接触する状態

エネルギー(静的・動的)

  • 静的荷重 時間経過に関わらず、静かにゆっくり負荷されるエネルギー
  • 動的荷重 時間経過によって変化し、突発または波形で負荷されるエネルギー(例:繰返荷重、交番荷重、衝突荷重)

これらを相互に組み合わせ、必要な解析の種類によってその機能を持つツールを選定する必要があります。

変形の状態と負荷するエネルギーの種類

当社で扱う「SIMULIA Abaqus Unified FEA」は、線形・非線形に対応できる豊富な要素と材料モデルが用意されており、さまざまなエネルギーもカバーしている応用範囲の広いハイエンドCAEツールとなっております。
また、同社の「SIMULIA 3DEXPERIENCE」の構造シミュレーションに関するベースソルバーとなっており、CADやPDMとも親和性の高いソリューションを提供しています。
ツール選定には、実際の用途以外にも利用範囲も考慮したほうが利用者拡大へもつながりますので、お悩みの際は当社までご相談ください。

SIMULIA Abaqus Unified FEA 活用例

  • 樹脂製固定器具の非線形解析によって
    スナップフィットを評価

    固定器具の主な目的の一つは部品と部品を結合させることにあります。
    特に、樹脂や形がいびつなものだと非線形性を考慮する必要があり、結合させるための押し込み力や結合後の密着性など評価するための項目がいくつもあり、非線形解析ツールでないと現象を再現することが難しいです。
    Abaqusを活用すると、樹脂材料の繊維配向を加味した剛性や与圧をモデルへマッピングし、弾塑性挙動や結合時の接触圧力の変化など押し込み時に発生する応力変化を模擬することが可能です。

  • ゴム製ブーツの流体解析によって
    脈動変形とシール性を評価

    構造物と流体が関連する機能部品は、ゴムやシリコンなど変形が大きく柔らかい素材になると、破れたり形状の隙間から液体が漏れるといった現象が発生しやすくなります。
    また、時間変化によって複雑な変形挙動を示す現象であるため、再現することが難しいです。
    Abaqusを活用すると、構造物の大きな変形や流体の脈動する動きに合わせて、経過時間ごとにシール性を評価することが可能です。

  • 自動車車体の音響解析によって
    内部/外部音の影響を評価

    機構部品の多い自動車の車体は、いくつもの機構を持つ部品から構成され、静粛性をはじめとする音の影響を考慮した設計が必要です。また、走行中となるとフレーム間の結合や振動特性なども影響し、時間変化による音の範囲や大きさを模擬することは難しいです。
    Abaqusを活用すると、機構部品の動きによる音の伝搬や音圧を含めた複合シミュレーションを使って評価することが可能です。

業界別事例ダウンロード

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※本事例は、ダッソー・システムズ社が制作した導入事例です。ダッソー・システムズ社に著作権は帰属します。

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